| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-066 (Poster presentation)

草本植物葉群内における葉間窒素分配のメタ解析

*彦坂幸毅 (東北大・院・生命科学), Niels P.R. Anten (ワーゲニンゲン大), 及川真平 (東京農大・国際食料情報), 神山千穂 (統計数理研究所), Almaz Borjigidai (中国民族大), 酒井英光, 長谷川利拡 (農業環境技術研究所), 廣瀬忠樹 (東京農大・国際食料情報)

葉群内の光環境勾配に応じてどのように窒素を分配するかは葉群全体の光合成速度に大きな影響を与える要因の一つである。多くの陸域物質循環シミュレーション内の葉群光合成モデルは、計算の単純化のため「葉群内において窒素は葉群光合成速度を最大にするように分配されている」という仮定をおいている。しかし、実際の植物葉群内の窒素分配が最適分配とは定量的に異なることが多くの研究から指摘されている。本研究では、(1)実際の葉群の窒素分配は最適分配からどれだけずれているのか、(2)温度やCO2濃度などの環境条件や群落構成種の特性などが窒素分配に影響するのか、という疑問に答えるために、自然群落・農作物群落・実験群落など約300の草本群落で得られたデータを収集し、メタ解析を行った。現在もデータを収集中であるが、これまでに得られた結果では、(1)実際の窒素分配は最適分配と高い相関をもつが、その勾配は約40%緩やかであること、(2)収穫前後の気温が窒素分配に有意な効果をもつ一方、CO2濃度の効果は認められなかったこと、(3)コムギから収集されたデータが他種のデータと大きく異なる傾向をもつことなどが明らかとなった。


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