| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨 ESJ60 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-068 (Poster presentation)
地球温暖化緩和に果たす森林のCO2吸収能の把握および森林減少・劣化の回避は、熱帯では緊急の課題であり、森林生態系の炭素現存量の約半分を占める土壌炭素の分解速度、土壌腐植の起源について理解することは、地球レベルでの炭素収支を予測する上で不可欠と考えられている。
本研究では、炭素固定を担い、土壌有機物の供給源である新鮮葉について、炭素同位体比(δ13C)、Leaf Mass Area(LMA)、SPAD値、C&N含有率を測定し、それらの樹種間および乾季・雨季間の比較を行ったので報告する。
試験地はタイ国東北部で、雨季(5月~11月)、乾季(12月~翌年4月)をもつ季節林である。荒廃草地から人工林に転換して以降の森林の炭素動態を把握するため設定した、草地2種(Imperata cylindrical(Yk)、Saccharum spontaneum(Yp))、人工早生樹3種(Acacia mangium(Aa), Acacia auriculiformis(Am), Eucalyptus camaldulensis(Ec))、人工郷土樹種1種(Dalbergia cochinchinensis(DcII)),天然林(Hopea ferrea(Hf)、Shorea henryana(Sh)、Dipterocarpus tubercuaotus(Dt))を対象とした。2011年2月、2011年9において樹冠上部の新鮮葉を採取した。
δ13C値について乾季と雨季との関係を見てみると,Aa, Am, Dt, Hfでは乾季で高い値を示し、Ec, DcII, Shでは有意差がなかった。前者は乾季の乾燥ストレスを示唆していた。一方,Yp, Ykは樹木とは反対に乾季で低い値を示した。樹木の中では、LMA値とN含有率(%)との間に負の関係が認められた。