| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨 ESJ60 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-076 (Poster presentation)
弱光環境である林床で、植物個体の生存・成長・更新成功を可能にする戦略は何か。著者らの過去の研究では、冷温帯林の林床における成長・更新可能性は個体の炭素収支で判定できることが示された。
そこで本発表では、個体の炭素収支を判定できる「葉の再生産の指標」を紹介する。同時に、落葉樹種間の成長可能性の違いを理解するためにはどのような生理的形態的特性に注目すべきか、またそれら特性が成長可能性にどの程度の効果を与えうるのかを議論したい。
葉の再生産の指標は、葉に関する4つの特性(年間の純生産量・葉重/葉面積比・葉寿命)からなる。そこで、主に次の内容を紹介する予定である:数種の落葉樹種間で、各特性値がどのように異なるか;林床で実際に得られる光量子束密度と年間の純生産量について
また、著者らは特にブナの成長や更新が可能になる条件について調査を行っている。ブナが優占を誇る日本海側山地では主に積雪の影響と考えられる、地形と植生の偏りが見られる。そこで、地形や上層の林冠状態の異なるあらゆるサイトにおいて、光利用可能性と、ブナ実生の成長速度や生存率を調査した。ブナの成長・更新可否について、まずは光環境で説明し得る部分を定量的に示したい。