| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨 ESJ60 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-085 (Poster presentation)
呼吸は物質とエネルギーの変換であり、生命維持、成長、適応のプロセスでもある。この呼吸を適応進化の単位である個体で実測する意義は深い。しかし、従来の植物個体呼吸は推定が大半であり、根を含む個体全体の実測は殆ど無い。そこで、我々は数ミリグラムの実生から樹高33m根回り4mを超える巨木まで、約500個体の植物個体全体を根とともにチャンバーに密閉する方法で個体呼吸を正確に実測した(1)。材料としたシベリアから熱帯降雨林の維管束植物(ヒカゲノカズラ類、シダ類、木性シダ類、裸子植物、被子植物)の個体重量幅はほぼ10の11乗倍であった。
このサイズスケールで維管束植物の個体呼吸とサイズの関係をグローバルに広く俯瞰した場合、系統間で何らかの差があるのか?もしも、系統間差があるとすれば(2)、どのような要因によって制御されているか?Mori et al. (2010) の結果は、植物個体呼吸の物理化学制御を示唆すると指摘されている(3)。我々は、維管束植物個体呼吸が自己組織化によって制御されている可能性があると考えた。
(1)Mori S, Yamaji K, Ishida A, et al. Mixed-power scaling of whole-plant respiration from seedlings to giant trees. PNAS, 107:1447-1451(2)Mulder C, Boit A, Mori S et al. (2012) Distributional (in)congruence of Biodiversity-Ecosystem Functioning. Advances in Ecol Res, 46:1-88(3)Atkin O(2010) f1000.com/prime/2712970#eval2376070