| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨 ESJ60 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-089 (Poster presentation)
植物の葉において光合成によって固定された炭素が呼吸として消費される他、葉や幹枝や根などに分配される量を把握するには、炭素安定同位体を用いたラベリング手法が効果的である。従来、葉に13CO2を与えた後、各コンパートメントに分配された有機物から炭素安定同位体比を測定していたが、近年、赤外光の代わりにレーザーを用いたガス分析計により、呼吸によって消費される量について連続的に測定できるようになってきている。本研究では、光合成によって固定された炭素が、どのくらい呼吸として消費されていくのかを明らかにするため、2012年9月に山梨県富士吉田試験地にてアカマツ成木(樹高約20.5m)を対象にラベリング実験を行い、滞留時間などの評価を行った。アクリル製の閉鎖循環型のチャンバーを幹4箇所(高さC1:15.5m、C2:11.1m、C3:7.3m、C4:3.8m)、根2箇所(幹からの距離C5:0.9m、C6:3.1m)に設置した。13CO2の測定には波長スキャンキャビティリングダウン方式二酸化炭素安定同位体アナライザー(Picarro Inc., CA USA, G2101-i)を用いて行った。ラベリングの後、各チャンバーを10分サイクルで測定し、キーリングプロットを利用して、放出されるCO2の炭素安定同位体比を連続観測した。高い同位体比の13CO2の放出は、まず、C1にて2日後の朝から見られ始め、3日後にはC2、4日後にはC3、5日後にはC4というように上の方から順番に見られた。しかしながら、設置状況が良くなかったためか、根チャンバー(C5、C6)からは検出できなかった。C1での13CO2のピークは5日後に見られた。