| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-097 (Poster presentation)

アメリカ西部モハベ砂漠に生育する植物の浸透調整物質と季節変動

岩永史子(九大演習林), 今田省吾, Kumud Acharya (DRI), 山中典和(鳥大乾燥地研)

アメリカ西部に位置するモハベ砂漠において、砂漠地帯を貫流するコロラド川の河畔で、かつて導入された中国原産の塩生植物・タマリスクが広域な単一群落を形成している。外来種のなかには在来種と比較して旺盛な水消費を示す事がある。モハベ砂漠においても同様に、急激な植生変化に伴う水資源への懸念や、表層土壌における塩濃度の変化、動物相への影響などがタマリスクの分布拡大に関わる事象として高い関心を得ている。本研究ではタマリスクと在来種3種との環境ストレス適応を比較解明することを目的とし、特に土壌環境と葉内の適合溶質蓄積能について解析を行った。実験材料はアメリカ合衆国ネバダ州のコロラド川上流域にあたるバージン川河畔にて、2011年5月から12月に葉および土壌の採取を行った。植物の生葉を採取、純水で2分間洗浄、80度で48時間乾燥した後、粉砕し、葉内陽イオン濃度とベタイン濃度の測定を行った。土壌は表層5-15cmの深さで、各サンプル採取個体の根元から採取した。持ち帰った土壌を2mmのふるいを通した後、生重と乾重を測定し、相対含水率を得た。乾燥土壌から1:5法にて抽出試料を得、原子吸光法にて陽イオン濃度の測定を行った。その結果、最も気温の高くなる夏季(7―8月)において、土壌相対含水量(g/g)の低下が認められた。在来種3種の葉内Na+濃度と土壌Na+濃度とに明らかな相関は認められなかったが、タマリスクの落葉期に土壌Na+濃度の上昇が認められた。夏季におけるベタイン類の葉内蓄積はタマリスクで認められず、在来種のアカザ科3種において顕著な蓄積が認められた。


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