| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-113 (Poster presentation)

一斉開花する森林の地理的パターンはどのように決定されるか?

*沼田真也(首都大・都市環境),安田雅俊(森林総研・九州),鈴木亮(筑波大・菅平),保坂哲朗(首都大・都市環境),Nur Supardi Md. Noor (FRIM・R&D) ,Christine Fletcher (FRIM・森林部) ,Mazlan Hashim (UTM・地理情報)

東南アジアのフタバガキ林では数年に一度の頻度で多様な樹木が同調的に開花、結実する一斉開花現象が見られる。一斉開花を通じてフタバガキ科を中心に多くの樹木が世代交代するため、東南アジア熱帯林の保全、修復、復元等において極めて重要な現象である。この一斉開花現象の発生には外的シグナル、すなわち異常気象が関わっていると考えられており、ボルネオのいくつかの森林では不定期に発生する異常乾燥と一斉開花の関連性が報告されている。しかし、東南アジア内でもフロラや気候には地理的変異が大きいため、一斉開花と異常気象の関連は地域によって異なる可能性がある。本研究は半島マレーシアの広い範囲で観察された一斉開花が観察された2001年、2002年、2005年に注目し、一斉開花が観察された地域においてどのような異常気象が発生したのかを検討した。一斉開花規模(4段階)の地理的パターンを分析したところ、2001年では南西ほど、2005年には南部で標高が高い地域ほど一斉開花規模が大きいことが示唆されたが、2002年には有意な地理的パターンは見られなかった。一方、低温、乾燥の地理的パターンはエピソード毎に異なっていたが、これらの異常気象の発生と一斉開花の規模の関連性を確認したところ、いずれのエピソードにおいても乾燥、低温と一斉開花規模の間には有意な関連性は見られなかった。発表では一斉開花と異常気象の地理的パターンを比較し、一斉開花の至近要因の地理的変異について考察する。


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