| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-145 (Poster presentation)

植物の分布と土地利用:広域調査データを用いた分布解析

*斎藤昌幸,倉島 治,伊藤元己(東大・総合文化)

人間活動に起因する土地利用は生物の分布に影響していると考えられる。本研究では、国土スケールにおける植物の分布に対する土地利用の影響を調べた。植物の分布データとして、環境省による第6回・第7回自然環境保全基礎調査における植生調査情報のうち2000年から2008年までにおこなわれた10,221地点の調査結果を利用した。100地点以上に出現した種を対象として、種ごとに分布モデルを構築した。目的変数には各調査地点における対象種の出現の有無(1/0)を用いた。分布を説明する環境要因には、土地利用要因(荒地率、水田率、水田以外の農地率、都市率、二次林率、植林率)、気候要因(温量化指数、最低気温、夏季降水量、冬季降水量)、および地形・地質要因(地形区分、地質年代、表層地質、黒ボク土率、河川の有無)を用いた。また、各環境要因の相対的な重要性(その要因によって説明されるdevianceの割合)を算出した。

合計405種を解析した結果、気候要因の重要性が平均45%で最も高く、次いで土地利用要因の平均32%、地形・地質要因の平均23%であった。土地利用要因のカテゴリー別に重要性を比較すると、二次林と植林の重要性が他の土地利用より高かった。土地利用は日本に広くみられる植物の分布に対して、少なくない影響を与えていることが示唆された。その中でも、二次林や植林は相対的に大きな影響を与えていると考えられる。


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