| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨 ESJ60 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-152 (Poster presentation)
コンブ藻場を含む海藻藻場、アマモ場やサンゴ礁に代表される沿岸底生生態系は多様な生物の生息場所になると共に、生物生産性等の生態系機能も高いことが知られている。しかし近年、水温の上昇が主要因と考えられる磯焼けや白化などにより、その面積が著しく減少し、それに伴う生物多様性や生態系機能の低下が懸念されている。そのため、これら沿岸生態系の長期変動を把握し、その変動に対し有効な対策を立てることが急務となっている。本研究では1970年代から2000年代にかけて行われた環境省による第2、4、5回海域自然環境保全基礎調査および北海道庁による2回の漁場調査を元に、北海道沿岸におけるコンブ類の種多様性とコンブ藻場の面積変動の解析を行った。沿岸の市町村間でコンブ類の出現種の違いをもとに類似度解析を行った結果、北海道沿岸では道東太平洋岸、日高~噴火湾、渡島~石狩、石狩~道北~オホーツクの4つのグループに大きく分けられ、特に道東太平洋岸のグループは種多様性が他のグループよりも高いことが判明した。面積の変動については、調査主体者が同一の調査に関して比較を行ったところ、多くの地域でコンブ藻場の面積が減少しており、特に道南地域においてその減少が著しかった。コンブ類の現存量の変動には、初期生活史における水温の変化が影響を与えることが知られているが、本講演では、独立行政法人海洋研究開発機構による海洋生物のデータベースBISMaLに登録されている上記のデータを含むコンブ類出現データを元に、北海道全域におけるコンブ類の経年変動が、水温および他の環境要因にどのように関連しているかを検討する。