| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨 ESJ60 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-153 (Poster presentation)
本研究では、東広島市の西条盆地に多く分布するため池の生態系の特性を明らかにすることを目的とし、水生植物の生息地としてのため池の地理的分布構造の評価と、水生植物と各種環境要因の関係、生息適地について分析を行う。ため池のような地域に点在する生育地では、その地理的分布パターンや生育地間のネットワークの重要性は認識されているものの、地域スケールでの具体的保全方法は明らかになっていない。また、地理的分布構造や生息に適した環境に関する情報は、保全計画において重要な資料となる。水生植物の生息地としてのため池の分布構造の分析については、RiplayのK関数、水生植物の生息地の環境要因の分析にはMaxentを使用する。ため池の分布構造の解析では、西条盆地のため池は500m程度の集中斑を形成していることを明らかにした。また、水生植物の種の出現傾向で分けた4つのため池タイプのそれぞれの分布相関を分析、外来種が出現するため池は多様性が高いため池とは排他的分布をしていることなどを明らかにした。水生植物の生息地の解析では、環境変数として、標高データから算出される環境要因や周辺の土地利用状況、ため池の形状指数などを変数として使用し、水生植物の分布を規定する要因の解明と、生育適地モデルの作成を試みた。そして、種毎に作成した生育適地モデルの変数の比較を行い、それぞれの種の生態的特性と合わせて空間分布が水生植物の存続に与える影響を考察する。さらに、生育適地における各種の分布、他の生育適地との分布構造の相関関係、絶滅危惧種と外来種などの分布、生息適地条件に着目して、ため池の保全について議論を行う。