| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-157 (Poster presentation)

湖沼堆積物の花粉組成は何を反映しているか?琵琶湖、立山みくりが池、木崎湖における植生-花粉組成の比較と定量的植生復元手法の検討

*林 竜馬(琵琶湖博物館),高原 光,佐々木尚子(京都府大・生命環境),兵藤不二夫(岡山大・異分野コア),槻木玲美,加 三千宣(愛媛大・SRFC),牧野 渡,占部城太郎(東北大・生命)

湖沼堆積物中に含まれる生物遺骸や生物・環境由来の化学物質の変化を基にしたレトロスペクティブ型モニタリング手法とあわせ、堆積物中の花粉組成を分析することにより、湖沼生態系に対する周辺植生変化の影響について明らかにすることが可能である。しかし堆積物中の花粉組成は、分類群毎に花粉の生産性や飛散性が異なっていることにより、周辺の植生割合を直接的に示すものではない。本研究では、日本における湖沼堆積物中の花粉組成が反映する植生の割合についての検討を行った。まず、湖沼堆積物によるレトロスペクティブ型モニタリングが検討されている、立山みくりが池と木崎湖、さらに北海道の4湖沼における花粉組成と周辺植生量との比較を行った。その結果、堆積物中の花粉組成は、特に平地湖沼において、環境省の自然環境情報GISデータに基づく各湖沼の集水域内の植生割合の特徴を反映したものであった。しかし、花粉の生産性や飛散性の違いにより、花粉組成と周辺植生量の割合には差異が認められた。そこで、湖沼堆積物中の花粉組成による周辺植生量の定量的復元手法を検討するため、近年ヨーロッパを中心に研究が進められている花粉飛散モデルを基にしたREVEALSモデルの琵琶湖堆積物への適用を試みた。実際の花粉組成ではスギ花粉が植生量と比べて過大に評価されていたが、花粉生産量の実測値と花粉落下速度に基づくREVEALSモデルを用いた植生量の推定値は、周辺植生量とよく対応した結果となった。このことは、この定量的復元手法の日本での応用の可能性を示している。


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