| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-164 (Poster presentation)

β多様性評価の都市緑地計画への応用~turnover vs nestedness~

*相澤章仁(横国大院・環境情報),梅木清,小林達明(千葉大院・園芸学)

本研究では種多様性の評価、特にβ多様性の評価を都市緑地計画に応用する手法を提案する。β多様性は群集間の種組成の違いを表すが、これは群集ごとに出現する種が入れ替わるturnoverと種数の違いに起因するnestedness(入れ子構造)の二つの要素に分けることができる。このことを用いると、ある地域における種構成のパターンは①β多様性が低い、②turnoverによってβ多様性が高い、③nestednessによってβ多様性が高い、の3つのパターンに分かれ、それぞれのパターンに対応して①ハビタットの量に関する保全策を考案する、②様々な環境を含む複数のハビタットを総合的に保全する、③種数の最も多いハビタットを集中的に保全する、という種多様性保全に向けた緑地計画の指針が得られる。

本研究ではこの評価法を用いて千葉県松戸市で行われている市民参加による鳥類センサスデータの解析を行った。センサスが行われている1kmメッシュを最小単位とし、松戸市みどりの基本計画を基に11地区、3地域を上位スケールとして設定した。メッシュ間、地区間、地域間におけるβ多様性の高低をランダム群集との比較を用いて明らかにしたところ、水鳥では地域間、陸鳥では地区間のβ多様性が高く、それぞれの下位スケールでの種数の分散が大きいことから、どちらもnestednessによってβ多様性が高くなったことが示唆された。松戸市の場合、水鳥では種数の多い地域、陸鳥では種数の多い地区を重点的に保全していくことが鳥類の種多様性を保全して行くためには有効であると考えられる。発表では統計モデリングを用いてこれらの構造をもたらした要因を特定する方法についても言及する。


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