| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨 ESJ60 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-168 (Poster presentation)
都市孤立林における哺乳類相の種構成と種間関係を明らかにする目的で,静岡県浜松市中区に位置する静岡大学教育学部附属浜松中学校構内の天神森において,赤外線センサースウィッチが内蔵された自動撮影カメラを4地点に夜間設置して,野生鳥獣の撮影を試みた.2012年9月25日から2012年12月4日の調査期間をとおして,撮影された写真の総数は493枚であった.そのうち合計121枚の写真で種が同定され,哺乳類では,ホンドタヌキ3個体の生息が確認されて合計76枚が,ノネコでは5個体の生息が確認されて合計で34枚,ハクビシンは1個体が確認されて3枚が撮影された.鳥類では,キジバトが6枚,ムクドリが2枚であった.また,夜間の自動撮影カメラでは撮影されなかったが,本調査地では,外来種のクリハラリスの生息が確認された.4つの調査地点のうち,イチョウの樹冠下とため糞場において,ホンドタヌキとノネコの2種の撮影枚数が特に多かった.写真の撮影場所と撮影時刻を分析することによって,ホンドタヌキとノネコの活動場所と日周活動が明らかにされ,2種の活動場所と時間が重複している傾向が見出された.本研究により,都市孤立林では外来種であるノネコの割合が高く,無視できないことが推測された.ホンドタヌキとノネコは,本調査地において高頻度に撮影されて接触する可能性が高いために,ため糞場や餌をめぐって競争関係にある可能性が考えられた.今後,長期間におよぶ調査を行なうことで,都市孤立林における哺乳類相の種構成と種間関係をより詳細に解明できることが明らかになった.