| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨 ESJ60 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-169 (Poster presentation)
清涼な水環境を必要とし,環境の変化に弱いとされるニホンザリガニは,近年,都市開発や外来種の侵入等の多くの要因により急激に生息地を減少させている.今後の保護活動を考えるうえで生息地の把握は重要な課題であるが,生息地の多くが人手の届かない奥山などの環境であることが多く市民参加型による生息地調査は活発に行われてはいない.
本研究では市民参加型のニホンザリガニ生息調査のモデル確立を目的として,ニホンザリガニの生息が確認されている札幌市平岡公園において2008年より生息個体数調査を実施し,2012年6月には136名の大学生を調査者として市民参加型のモニタリング手法について検討,実施した.本調査では参加型のモニタリング調査の有効性と今後のニホンザリガニの保護体制について考察した.
5年間にわたる生息個体数調査から都市開発の影響を受けにくいと思われる緑地公園内の生息地においても個体数減少が確認できる沢があった.また,従来の少人数での調査では生息個体の確認できなかった調査区域でも確認ができたことから,生息地確認を行ううえでの本調査の有効性が示唆された.しかし,大人数での調査であったため調査地周辺への踏み荒らし被害も確認できたことから, 周辺環境に配慮した計画策定をする必要がある.