| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-455 (Poster presentation)

温帯ヒノキ林における木質リター分解呼吸速度の環境応答性と基質特性の評価

*真嶋光一郎,小杉緑子,牧田直樹,安宅未央子(京大院・農)

木質リターの分解にともなう炭素の動態を理解することは、森林での正確な炭素循環の解明の上で重要である。多くの木質リター分解に関する研究は、長期間にわたる重量減少や、化学性の変化を扱っている。しかし、このような研究だけでは、詳細な環境応答性や基質特性は求め難い。近年では、環境要因や基質特性をパラメーターとし詳細な応答を記述するモデルや、林分レベルでの分解呼吸量の推定のために、詳細な環境応答性や、基質特性の解明が求められている。

そこで本研究では、木質リター分解呼吸速度をチャンバー法により直接測定し、環境応答性、基質特性が与える影響の評価を試みた。

測定を滋賀県大津市、桐生水文試験地において行った。測定期間は2010/7/17-2012/10/3で、2-3週ごとに定期的に測定を行なった。試験地の優占樹種であるヒノキ(Chamaecyparis obtusa)の、枯枝後2年以内の個体を伐倒し、直径ごとに5つの階級(-5mm、5-7mm、7-12mm、12-60mm、60mm-)に分け、サンプルとした。サンプルを自然区と乾燥区に2010/6/28に設置した。IRGA(LI-840, Licor)を用いた閉鎖循環式チャンバー法により、木質リター分解呼吸速度を測定した。測定した木質リター分解呼吸速度と、サンプル表面温度、含水率、直径の関係をモデル化した。

その結果、ヒノキ林における木質リター分解呼吸速度は、サンプル毎のバラつきが大きいものの、直径が大きいほど減少した。さらに、表面温度が上昇するほど指数関数的に増加し、含水率が減少すると減少した。また得られたモデルにより分解呼吸速度を約60%を説明することができた。


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