| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-465 (Poster presentation)

ミクロネシア連邦ポンペイ島サンゴ礁上マングローブ林におけるRhizophora apiculataの細根生産量

*小野賢二, 藤本潔, 平田泰雅, 谷口真吾, 田淵隆一, Saimon Lihpai

ミクロネシア連邦ポンペイ島のマングローブ林は、これまで大きな人為的撹乱を被ることなく比較的良好な森林環境が保たれてきた。森林総研では森林動態と炭素固定機能を明らかにするため、ポンペイ州政府森林局と連携し、1994年にポンペイ島の主要マングローブ群落内の2箇所に1ha固定プロットを設置し、地下部堆積構造を明らかにするとともに、各種モニタリング調査を行っている。その中で、ポンペイ島のマングローブ林は陸上生態系では類をみないほどの膨大な量の炭素を特に地下部に貯留していること、その炭素貯留には地下部細根によるマングローブ泥炭の生成が寄与している可能性が指摘された。本研究では、R. apiculataが優占するサンゴ礁型マングローブ林においてイングロースコア法による細根生産量調査を実施したので、その結果を報告する。イングロースコア(直径3 cm, 長さ60cm)は、2010年9月に1 ha固定プロットの海側と陸側のR. apiculataの支持根の分布範囲にそれぞれ10本ずつ埋設し、その後1年毎に5本ずつに回収して、コアに侵入した細根量を10 cm深毎に定量した。その結果、表層0~10 cm深で細根の生産量は低い傾向がみられたものの、10 cm深以下の各深度別の細根生産量には明瞭な違いは認められなかった。海側と陸側での細根生産量はそれぞれ7.2+/-3.2、5.7+/-3.8 t ha-1 year-1と見積もられ、両地点間に有意な差は認められなかった。同試験地における落葉リター生産量は10 t ha-1 year-1 前後であったことから、細根生産量はその6~7割に匹敵する量であることが明らかとなった。


日本生態学会