| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-476 (Poster presentation)

霞ヶ浦およびその流入河川における底生動物中の放射性セシウム濃度について

*佐竹 潔, 上野隆平, 松崎慎一郎, 中川 惠, 吉葉めぐみ, 田中 敦, 野原精一(国環研)

霞ヶ浦およびその流入河川の河口部付近において、湖水や底泥・プランクトン・底生動物(巻貝・二枚貝・甲殻類)・魚類・抽水植物を2011年7月以降に定期的に採集し、放射性セシウムの測定を進めてきた。今回はこのうち底生動物についての発表を行う。これまでの調査結果より、分類群によって、セシウム137濃度のトレンドが大きく異なることがわかってきた。清明川河口および花室川河口付近の湖岸のヒメタニシ(巻貝)とカワヒバリガイ(二枚貝)のセシウム137濃度はいずれも、2011年7月以降、減少傾向が認められた。いずれの地点でも、ヒメタニシのほうがカワヒバリガイと比べてやや値が高かった。カワヒバリガイが濾過摂食者であるのに対し、ヒメタニシは付着藻類などを捕食する藻類食者であることから、底生動物のなかでも、食性によって放射性物質の移行・蓄積・排出過程が異なることが示唆された。2012年以降に調査しはじめたアメリガザリガニの場合はセシウム濃度がこの両者よりやや高い傾向を示した。また湖心部で得られる底生動物としてはユスリカ類が代表的であるが、通常の採集方法では得られる個体数が少なく検出限界以下の値になってしまうので、今後の検討課題となっている。


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