| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨 ESJ60 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P3-HS17 (Poster presentation)
現在、日方川でアユがどのように生息しているか調査し、他河川と比較した。さらに、日方川の、本来アユがいる上流環境に該当する水域に放流し、そこでアユが見せる生態も調べた。すると、主に次のようなことが分かった。
●アユは藻類と共にヘドロなどの有機物も食べ、河川の局地的な富栄養化を防いでいる。
●遡上の時期は3月中旬から始まり、5月に最盛期となる。
●早期遡上の個体は大型化し、遡上意識が高い。
●日方川では落差工という人工構造物のために上流域までアユが遡上できていない。
●今年秋産卵が汽水域で行われる様子が観察できたが、次の日にコイに食べられてしまった。
これらの事から、早期遡上の個体が自力で上流域まで遡上できれば、河川全体でアユの河川浄化作用が発揮されると考えられる。 また、水源の調査を行った時、カスミサンショウウオを発見した。この生息地はどうやら和歌山県紀北地方最大の生息数を誇っているようなのでこちらの調査も行っている。現在、水源を管理してきた方々は高齢化してきている。これからは、水源を地域ぐるみで守っていかなくては、山が荒れ、川も汚れていくだろう。これは日方川に限ったことではないと考えられる。