| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(口頭発表) B2-03 (Oral presentation)
シリブカガシは、本州(近畿地方以西)・四国・九州・琉球に広く分布するものの、まとまって生えることが稀で、三重県、兵庫県、愛媛県で絶滅が危ぶまれている。一方、シリブカガシの成長・死亡特性、遷移段階における位置等の生態学的特徴は依然不明な点が多い。
広島市二葉山には、日本で最も大きいシリブカガシが優占する群落があり、宮島にもそれに匹敵する規模のシリブカガシ群落が存在している。しかし、二葉山と比べ、宮島のシリブカガシ林には胸高直径5㎝以下の個体が極端に少ないため、シリブカガシ個体群は更新できていないことが示唆されており、今後の存続可能性も低いと考えられる。
そこで、宮島のシリブカガシ個体群の樹齢分布を作成し、それと宮島の過去の事象とを比較することにより、胸高直径5㎝以下の個体が少ない要因を考察したい。本研究で明らかにされるであろうシリブカガシの更新条件は、日本各地のシリブカガシの保全に活用できるはずである。
宮島の1ha調査区内のシリブカガシを調査対象とし、それらの樹齢の決定を試みた。樹齢測定には生長錐とデジタルマイクロプローブ(DMP)を用いた。シリブカガシの幹は硬く、生長錐のみの測定では効率が悪く、かつ、コアサンプルが採取できない個体もあったためDMPを用いることとした。しかし、DMPを樹齢測定の目的で使用する場合、対象樹種の樹齢測定にDMPが使用可能かどうか事前に確認することが必要である。そこでまず、生長錐により測定した樹齢と、DMPによるそれの比較を行った。
本発表では、DMPによるシリブカガシの樹齢測定の可能性、および、宮島のシリブカガシ個体群の樹齢分布を報告する。