| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(口頭発表) C1-16 (Oral presentation)
生物の種の分布,競争に対する繁殖干渉の重要性が近年認識されるようになり,近縁種の個体数や分布の説明に成果を挙げている.ここでは,繁殖干渉が島での種の共存にどのような影響を及ぼすかをモデルにより調べた.
それぞれの個体を連続的に配置し,拡散,距離に応じた競争,繁殖,周辺領域での攪乱を考えた.新しい種の移入は島の外周部分で生じるとする.個体間の距離と種によりそれぞれの個体が受ける繁殖干渉が決まるとしている.モデルのシミュレーションにより以下の結果が得られた.在来種と比べ侵入種の方が他種への繁殖干渉が強い場合について考える.攪乱がない場合には,在来種の繁殖干渉がある程度強ければ,侵入種は侵入できない.攪乱がある場合,ある程度の強さまでは攪乱が強くなると侵入種は侵入しやすくなるが,より強くなると侵入しづらくなる.
次に島内の環境勾配とそれぞれの個体の環境に対する適応形質を考えた.子の形質は両親の形質の平均に小さな突然変異を加えたものとする.このモデルでは,侵入種の方が繁殖干渉が弱い場合でも侵入に成功し,両種が共存するようになる.侵入の成功確率は在来種の繁殖干渉の強さと攪乱領域の大きさに依存し,攪乱に頻度には依存しない.侵入種の侵入後は在来種は中心部,侵入種は周辺部に分布するようになる.