| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(口頭発表) C2-11 (Oral presentation)
植物の実生の周囲は、多くの場合、他種競争者から血縁者まで様々な植物が存在する。このような状況において、植物は、アレロパシ―物質を分泌する、葉や根の構造を変化させる、などにより、他種競争者の生長を抑制する一方で、血縁者を認識し、競争を避けることで適応的に振る舞うことが知られている。植物が示す競争者に対する可塑的反応と血縁認識能力は、血縁個体間における協力や役割分担など、様々な社会行動の存在を予想させる。本研究では、オオバコを材料とし、種間競争において、血縁関係にある個体同士が協力的に振る舞い、他種競争者の生長を抑制するかどうかを、栽培実験によって検証した。他種競争者(シロツメクサまたはウラジロチチコグサ)の実生1株と、同じ親株由来のオオバコの実生2株(血縁条件)、または異なる親株由来のオオバコの実生2株(非血縁条件)を、それぞれ同じ鉢に植えて一定期間栽培した各個体の地上部と地下部の乾燥重量を測定し、生長量を評価した。また、地上部の競争者に対する反応として、オオバコの葉を出す方向も記録した。その結果、他種競争者の乾燥重量は、オオバコを非血縁個体同士で生育させた条件よりも、血縁個体同士で生育させた条件において顕著に小さかった。また、シロツメクサの乾燥重量は、シロツメクサ側に展葉されたオオバコの葉の枚数と、ウラジロチチコグサの乾燥重量は、オオバコの合計乾燥重量と、それぞれ負の相関を示した。以上の結果は、オオバコが、血縁個体間で協力して他種競争者の生長を抑制しており、競争者の種に応じて異なる応答を示すことを強く示唆するものである。