| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(口頭発表) F2-09 (Oral presentation)
ダーウィンは1877年に、両性個体と雌性個体が集団内で共存する雌性両性異株はよくみられるものの、その逆に両生個体と雄性個体からなる雄性両性異株の例は1つも見つからないと記した。それ以来、動植物ともに数例ずつ報告されたが、雄性両性異株は非常に稀な繁殖システムである。理論的な研究から、雄の繁殖成功が両性の2倍を超えるという条件が難しいために雄性両性異株が稀であると考えられる。我々は、実験室と自然環境での交配実験により、モデル生物シロイヌナズナと同じくアブラナ科に属するCardamine amaraが雄性両性異株を示すことを見いだした。ラメットごとに解析したところ、雄個体の維持のために必要と考えられる2倍の花粉数は見られず、また雄の頻度も集団によっては理論的に予測される上限値の50%を越えることがあった。そこで、マイクロサテライトを用いてラメットの遺伝子型判別を行ったところ、雄個体は2.5倍程度高い頻度でクローン繁殖を行っていることがわかった。これらの結果は、雄個体が種子生産よりもクローン繁殖に資源を用いることで維持されていることを示唆する。