| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(口頭発表) G2-07 (Oral presentation)

行動的な反応を基盤とする協力ゲームにおける意思決定様式の進化

*伊藤公一(京大生態研),John McNamara(Bristol Univ.), 山内淳(京大生態研)), Benja Fallenstein(Bristol Univ.), Andrew Higginson(Bristol Univ.)

協力は様々な分類群において幅広くみられる現象である。協力行動において協力にどの程度投資するかは、遺伝的に決まっている生物もいるが、環境や相手、経験等に応じて協力への投資量を変えることも少なくない。例えば、相手がどの程度協力に投資するかに応じて、自身の投資量を行動的に変化させることもあるだろう。このような場合、協力の進化は「相手の投資に対してどう応答するか」という協力の意思決定様式自体の進化と考える必要がある。一方で、このような行動的な反応の場合には、本来取るはずだった行動と異なる反応をしてしまうような、行動のエラーが生じる事がある。行動のエラーの存在は、意思決定様式の進化動態に影響を与える可能性がある。本研究では、このような行動時のエラーに注目して、協力ゲームにおける意思決定様式がどのように進化するのか、理論的手法を用いて解析した。

モデルとして、2個体で行うスノードリフトゲームを考える。各個体は、相手に関わらず投資するベース投資量と、相手の投資量に対する応答の強さの二つを、意思決定に関わる形質として持っているとする。協力への投資量は、ベース投資量を切片、応答の強さを傾きとする、相手の投資量の一次関数で表すことができるだろう。さらに、実際の各個体の協力への投資量は、行動のエラーの結果として正規分布となると仮定する。各個体は、各個体の投資量の和で決まる協力の利益と自身の投資量で決まるコストの差分を利得として得る。以上のようなモデルについて、適応ダイナミクスを用いて二型質の進化動態を解析した。

本発表では、特にエラー強度が意思決定の進化に与える影響に注目して、解析結果を報告する。


日本生態学会