| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(口頭発表) H1-04 (Oral presentation)

ボルネオ熱帯降雨林における温室効果ガスフラックスに標高および地質が与える影響

*森大喜, 北山兼弘(京大・農)

本研究は、熱帯山岳の標高と地質の環境傾度を利用して、熱帯降雨林土壌における温室効果ガスフラックスの規定要因を明らかにすることを目的とした。

調査は、キナバル山熱帯降雨林の4標高 (700m, 1700m, 2700m, 3100m) と2地質 (堆積岩および蛇紋岩) のマトリクス状の8サイトで行った。クローズドチャンバー法によってガスサンプルを採取し、CO2、N2OおよびCH4濃度をガスクロマトグラフ(SHIMADZU GC-14B, C)により測定して、時間当たりの変化量をフラックスとした。また、チャンバー付近から、採土円筒を用いて深度0~15cmの土壌を採取し、土壌中の無機態窒素、微生物態炭素、微生物態窒素、微生物態リン、WFPS (土壌中の全孔隙に占める水の割合)、pH(H2O)を測定した。微生物態炭素、窒素およびリンの測定にはクロロホルム燻蒸法を用いた。

標高が上昇するにつれ、CO2放出量とCH4吸収量はともに減少したが、N2O放出量については、標高による違いは見られなかった。また、CO2放出量については、比較的貧栄養な蛇紋岩土壌において低い値を示した (共に2元配置分散分析)。CO2放出量は無機態窒素濃度と正の相関関係を示した。、この理由として、窒素の可給性が微生物および根の活動をコントロール している可能性、炭素の分解に伴い窒素の無機化が促進された可能性が示された。さらに、他の土壌パラメータについての結果と合わせて、温室効果ガスフラックスの規定要因を考察した。


日本生態学会