| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(口頭発表) H2-06 (Oral presentation)
現在、南西諸島に分布する陸生・陸水生カメ類は、イシガメ科のクサガメ、ニホンイシガメ、ミナミイシガメ、セマルハコガメ、リュウキュウヤマガメ、ヌマガメ科のアカミミガメおよびスッポン科のニホンスッポンの計7種とされる。このうちクサガメ、アカミミガメおよびニホンスッポンは外来種とされる。またニホンイシガメも外来種の可能性がある。その他イシガメ科3種は、セマルハコガメでは石垣島と西表島、ミナミイシガメでは加えて与那国島、リュウキュウヤマガメでは沖縄島、渡嘉敷島および久米島を原産とするが、各々現在の自然分布域外の島や地域に持ち出され定着したものも認められる。またクサガメとミナミイシガメ、リュウキュウヤマガメとその他イシガメ科4種の各々の交雑個体も野外から見つかっている。本研究では、南西諸島に分布する陸生・陸水生カメ類7種の分布記録を整理した。
文献調査により、地域誌など114報のほか新聞記事などから分布記録を抽出した。さらに2003年4月以降に著者が確認した未発表記録を加えた。分布記録を可能な限り地域基準メッシュ(一辺約1 km)に同定した。
分布記録は、大小33島で認められ、計655メッシュに同定された。メッシュに同定できない市町村単位の記録があり、薩南諸島や大東諸島では島単位でしか記録がないものも多かった。クサガメとニホンイシガメは多くが近年に初確認されていた。ミナミイシガメは、古くから導入されており、最も多い19島で記録されていた。また、本種は原産地より沖縄島の分布メッシュ数のほうが多かった。セマルハコガメとリュウキュウヤマガメは、天然記念物調査等により多くの分布記録が残されていた。アカミミガメとニホンスッポンは多くの島で確認され、また沖縄島に記録が集中していた。イシガメ科交雑個体は、喜界島と沖縄島で記録されていた。