| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PA1-015 (Poster presentation)
植物のハビタットは地形と密接に関係している。地形の影響は個体サイズの小さな林床植物に顕著にあらわれ、例えば地表攪乱が高頻度で起こる崩壊地や土石流段丘上では、周囲とは異なる生活型をもった林床植生が成立するとされる。一方、草本植物の種組成、被度は季節的にも変化する。このため、地形が林床植生に及ぼす影響を評価するためには、植物の出現状況の季節変化を明らかにする必要がある。本研究では、微地形と林床植物出現の季節変化の関係を明らかにすることを目的とした。
調査地は関東地方南東部三頭山の標高1200mの、恒常流がある谷から尾根までの距離約130m、標高差約100mの南向き斜面である。調査地内には尾根型斜面、上部凸型斜面、下部凹型斜面、崩壊性斜面、段丘状テラス、デブリ、流路などの微地形が確認される。調査地内に58個の方形区(2×2m2)を設置し、4月~12月まで約2週間おきに高さ2m以下の全植物種の被度を記録し、地上高0.5mと2mで全天空写真を撮影してRPPFDを算出した。
全期間を通じて、草本層の被度は段丘状テラス、デブリと崩壊性斜面で高く、尾根型斜面、上部凸型斜面で低かった。段丘状テラスの草本層の被度は、春先に高く、初夏に大幅に低下し、その後、再び上昇する2山型の傾向を示した。出現した全種を、出現した時期と被度の季節変化を基に4つのグループに分類した。春先に出現後直ぐに被度のピークを迎え、その後消失する種(A)、6月以降に出現した種(B)、春先に出現し期間を通じて連続的に出現した種(C)、それら以外(D)である。グループAは、主に根茎形態に塊根を持つ植物が多く含まれており、流路、デブリ、段丘状テラスの斜面下で特徴的に見られた。グループBは、万遍なく出現する傾向にあった。