| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA1-016 (Poster presentation)

霧ケ峰高原における半自然草原群落への火入れ延焼の影響

*大窪久美子(信大・農),藤間竣亮(信大院・農),渡辺太一(信大院・総合工),新井隆介(岩手環保研,信大院・総合工)

八ヶ岳中信高原国定公園内の霧ヶ峰高原において、2013年4月28日に、踊り場湿原上部での火入れが、あいにくの強風にあおられて、草原や森林を含む大面積(約220ha)に延焼することとなった。そこで延焼による草原、また自然保全再生計画等への影響を検討することを目的として本研究を実施した。なお、本研究は長野県からの調査委託を霧ヶ峰生物多様性研究会(大窪が副会長)が受けたものであり、調査を実施するにあたっては、地元の地権者、県市町機関の関係者各位に大変お世話になったことに感謝したい。

調査地は伊那丸富士見台の県環境保全研究所の設置したシカ柵内とそれ以外の場所に、延焼の有無での計4区(AとB、CとD)で各9プロット、計36プロットを設定した。プロットの面積は4㎡とした。また踊り場湿原上部では柵の設置はせず、延焼の有無での計2区(EとF)で各5プロット、計10プロットを設置した。

植物社会学的植生調査ではプロット内の出現種及び被度、群度、植物高を、また群落の立地環境を把握するため、土壌含水率及び土壌硬度、相対光量子密度を反復測定した。測定記録した。

TWINSPANにより植生データを解析した結果、全プロットは第1分割では伊那丸富士見台のプロットと踊場のプロットで分割され、さらに第2分割以降においても、ほぼ設定区別に分類された。したがって、群落の組成は、ほぼ初期に設定した調査地や設定区別に分けて捉えられたが、延焼の有無による差異はほとんどないことが示された。また伊那丸富士見台では延焼のあった区で植物のフェノロジーや群落の発達が遅れたが、これは標高の影響と考えられた。伊那丸富士見台の相対光量子密度は、延焼有で有意に高かった。


日本生態学会