| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PA1-058 (Poster presentation)
小笠原諸島父島の年間降水量は1000ミリ前後であるが、温暖な気候であるため年によってはThornthwaite式による可能蒸発量と同等になる。このように乾燥した地域に生育する樹木の乾燥耐性を調べることは気候変動下の森林動態を把握する上で大きな意味をもつ。本研究では乾性林に生育する2樹種(テリハハマボウ、ムニンネズミモチ)を用いて2013年6月から7月にかけてと2014年2月から3月にかけての降水量の少ない時期に樹木が受ける乾燥ストレスの変動を調べた。7月6日の降雨の後、土壌水分は徐々に低下した。しかし、7月11日まで霧がちの天候であったため大気飽差は上昇せず、11日以降に上昇がみられた。テリハハマボウは乾燥に伴う水ポテンシャルの低下があまりみられず、Isohydricな性質を示した。一方で、ムニンネズミモチは乾燥に伴い急激な水ポテンシャルの低下がみられ、Anisohydricな性質を示した。水ポテンシャルの変化は土壌水分の変動よりも大気飽差の変動に追従していた。大気飽差および土壌水分に対する樹木の水ポテンシャルおよび気孔コンダクタンスの変化パターンを7月の高温下と3月の低温下で比較することにより、大気飽差に伴う乾燥強度と降雨間隔に伴う乾燥期間が各樹種の乾燥ストレスに対してどのような寄与率を示すのか明らかにする。さらに過去の気象データを参照することにより乾燥ストレスがかかる頻度と強度を明らかにすることができると考えられる。