| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PA1-067 (Poster presentation)
Schiedeaは30数種から構成され、森林に生育した単一の祖先種から種分化したと考えられている。現存種の生育地は、森林だけでなく、低木林、海岸や高山帯の崖地,乾性尾根など、風当たりが強く明るい開けた場所へと広がり、種ごとに多様化している。開けた場所へ進出した種は、その環境に好ましい特性を進化的に獲得してきたと予想される。本研究は、生育地の異なる現存種間で葉の形態と光合成特性を比較し、生育地のシフトと葉の特性の関係について解析を試みた。
低木性20種について、種子や挿し木から増やした個体をポットに植え、California大学の温室で育てた。2003年9、10月に、1種あたり1−5個体の葉の特性を調べた。形態に関して、葉面積、葉面積あたりの葉重量、葉身の厚さ、気孔密度を測定し、また、光合成特性として、光−光合成曲線から最大光合成速度を推定した。
崖地と尾根に生育する種(cliff-ridge種)は、低木林に生育する種(schrubland種)と森林に生育する種(forest種)に比べ、葉面積が小さく葉身が厚かった。葉の気孔は、forest種では背軸面にのみ分布したが、cliff-ridge種と一部のschrubland種では、背軸と向軸両面に見られた。葉重あたりの最大光合成速度は、葉身の厚い種ほど低い傾向があったが、葉の厚さが同程度の場合、葉両面に気孔が分布する種は片面に分布する種より光合成速度が高かった。生育地のシフトには、葉のサイズと厚さとともに、気孔分布の変化を介した光合成能力の変化が関係していると示唆された。