| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PA1-074 (Poster presentation)
陸上高等植物は主に葉で光合成を行い成長する。葉は乾燥から守るために表皮で覆われているが、光合成の際、気孔を開き、二酸化炭素を取り込む。同時に葉内から蒸散として水蒸気が放出され、これを合わせてガス交換という。植物は気孔を開閉することで光と水という資源のバランスを取りながら光合成を行う。本研究では、日光植物園に生える様々な植物について、ガス交換能力と気孔面積率(葉がどれくらいの面積の気孔を空けることができるか)を測定し、木本と草本に分けて関係を調べた。
光合成速度と蒸散速度の関係は、木本、草本共に相関関係にあり、草本の方がやや水利用効率が低い傾向がみられた。光合成速度と気孔面積率の関係では、草本では相関がみられたが、木本では殆どみられなかった。蒸散速度と気孔面積率の関係では、草本での相関も低く、木本では殆どみられなかった。光合成速度とLMA(単位葉面積あたりの葉重)の関係は、草本では相関がみられたが、木本では殆どみられなかった。
気孔面積率がガス交換能力に伴って増加するのは明るい環境で積極的に光合成を行う草本であった。木本や日陰の草本では気孔面積率が必要以上に高い種も多く、蒸散に注目すると、草本では気孔面積率に関わらず種によって大きく異なり、木本では気孔面積率に関わらずほぼ一定の値を示した。LMAと光合成の関係では、全体としてLMAの上昇に伴い光合成速度がゆるやかに上昇する傾向がみられたが、それとは別に、LMAに関わらず高い光合成速度を示す種がみられ、構造によるLMA増加と光合成窒素の蓄積によるLMA増加の2種類が考えられる。