| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA1-079 (Poster presentation)

汎用マイクロコントローラー(Arduino)を用いた樹液流測定装置の開発 ―ナラ枯れ被害木への適用―

*小南裕志(森総研関西),吉村謙一(森総研関西),安宅末央子(京大農)深山貴文(森総研関西)

近年、カシノナガキクイムシが媒介するナラ菌により、コナラ、ミズナラ等が集団的に枯損す る「ナラ枯れ」が本州の日本海側から拡大している。ナラ枯れによる樹木枯死は道管の通水阻害によるものだが、マツ枯れと異なり被害を受け た樹木の一部しか枯れないという特徴を持ち、その被害の状況も一定ではない。このような広域での樹病被害などの評価のために安価(コント ローラ部で1万5千円程 度)で単独動作が可能な樹液流速の測定システムの開発を行ったため、そのシステムと適応例の報告を行う。樹液流速測定はヒートパルス法の 一種であるHRM(Heat Ratio Method)を用いた。この手法は経験的なパラメータが少ないために流速低下の絶対値評価が比較的容易である。コン トローラに汎用マイクロコントローラ(Arduino UNO Rev3.0, Arduino Software社)を用い、これに16BitAD変換器(ADS1115, Texas Instruments社)とSDカードモジュール(seedstudio社)を組み 込むことにより高精度(約60000degit、 実質精度0.02℃)かつ高頻度(最大約30Hz) でのデータ収録を可能にした。ヒーターは気体中で連続8000h以上の連続加熱が 可能な小型ブロックヒーター(2.0mmφ)を開発し、これと汎用サーミスタを組 み合わせて高精度長期運用可能であるシステムを構築した。このシステムを2013年 より被害がナラ枯れ被害発生している山城試験地(京都府木津川市)内のコナラに適用した。2013年 段階では被害木は枯死に至らなかったため樹液流速阻害と枯死の直接的な関係の評価には至っていないが、低流速時の良好なデータ収集が可能 であることが確認された。


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