| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA1-082 (Poster presentation)

熱帯泥炭湿地林とヒース林における樹木の個葉と水利用特性の比較

塩寺さとみ(京大・東南研),甲山隆司(北大・地球環境科学)

熱帯低地林を代表する森林タイプとして、低地混交フタバガキ林、熱帯ヒース林、泥炭湿地林があげられるが、中部カリマンタン州では、その特徴的な地形により、熱帯ヒース林、泥炭湿地林の発達が見られ、これらの森林はそれぞれ低地林の約10 %を占めている。熱帯ヒース林は溶脱された珪砂の土壌上に発達している森林で、南西アジアと南アメリカに見られる特殊な森林である。酸性で栄養塩に乏しく、水分保持力が低いために、乾季には水ストレスがかかると考えられる。樹木は樹高が低く、比較的細い幹、厚い葉を持つという特徴が見られ、種多様性が低いことで知られている。一方で、熱帯泥炭湿地林は河川沿いや河川の下流の平らな場所に発達している。季節的な浸水のためにリターが分解されず、泥炭として厚く積もってできた森林である。熱帯ヒース林と同様に貧栄養ではあるが、雨季には林床全体が冠水するため、これに適応した特徴的な樹種が見られる。中部カリマンタン州において、隣接する熱帯ヒース林と泥炭湿地林において調査を行ったところ、これらの森林には共通する種は見られるものの、樹高や優占種が異なっていることが確認された。

そこで、本研究では、これらの森林において、森林を代表する特性として特に樹木の葉に着目して研究を行った。それぞれの森林から優占種を選択し、樹冠上部から葉を採取して個葉サイズ、LMA、炭素安定同位体比といった個葉の性質についての比較を行った。また、林床部の優占稚樹の葉を採取し、同様の比較を行った。成木に関しては材も採取して、炭素安定同位体比の測定を行った。


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