| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PA1-090 (Poster presentation)
アレロケミカルを根で産生するセイタカアワダチソウにおいては多種の二次代謝産物の産生が報告されており,それらの化合物が植物間以外の生物間相互作用に寄与する可能性がある.内生糸状菌は植物の組織に感染し,植物の成長を促進させストレス耐性を増強させることが知られているが,本植物において内生糸状菌が根に定着する際にどのような化学的影響を受けているか調べた報告例はない.本研究では,内生糸状菌が根に定着するためには本植物に含まれる抗菌物質に対して耐性を獲得する必要があるという仮説を立て,以下の実験を行った.
検定菌Cladosporium herbarumを用いたTLCバイオオートグラフィーによって根抽出物の抗菌活性を確認後,抗菌物質の単離およびNMR同定を行った結果,アレロケミカルであるcis-DMEが抗糸状菌活性を示すことが明らかとなった.また,2012年7月から11月にかけて細根から内生糸状菌の分離を行ったところ,優占種は6種と考えられたが顕著な季節変動は認められなかった.成長期の2012年9月の細根に含まれるcis-DMEの定量結果を踏まえ,cis-DME が12.5 µg,25 µg,50 µg,100 µg/plateになるように作製した1%MAで主要な内生糸状菌3種およびC. herbarumを培養した結果,菌種間で感受性に差が認められた.cis-DMEは低濃度でも内生菌種やC. herbarumに対して菌糸生育阻害を示したことから,根における内生糸状菌の定着に影響する可能性が示唆された.