| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA1-146 (Poster presentation)

格子モデルによる納豆菌の空間パターン形成と破壊地

中山玄樹(兵庫県大・環境),木山翔太(兵庫県大・環境),中桐斉之(兵庫県大・環境)

枯草菌などのバクテリアは栄養を含んだ寒天培地に接種すると表面で成長、分裂を繰り返してコロニーを形成する。コロニーの大きさや空間パターンは、培地の環境条件に依存する。培地の栄養濃度は増殖率に影響し、寒天濃度は栄養の拡散に影響する。

一方、道路や建物などの破壊地が生物の種の存続に影響を与えており、生息地破壊における生物の存続や侵入の問題は極めて重要なトピックとなっている。最近、生物の分布拡大モデルにおいても生息地に不適な環境を設置するなどの方法で生物分布拡大パターンを解析する研究が報告されている。

本研究では枯草菌(Bacillus subtilis)と細菌学的性質が同一である納豆菌(Bacillus subtilis natto)を用い、培地を部分的に破壊することで、破壊された生息地(破壊地)が納豆菌コロニーの空間パターン形成にどのような影響を与えるか観察した。その結果、通常の培養と比較すると破壊地がある場合はコロニーが縮小する場合があることが分かった。しかし栄養条件によっては逆に拡大する場合があることが分かった。また、バクテリアは培養時にシャーレの端に寄りつかない特徴を持っているが、これは破壊地に対して現れることはなかった。このことからバクテリアは障害物に寄りつかない性質を持っているのではなく、その他の条件によってこの特徴を生み出していると考えられる。

また、バクテリアの生息地の破壊がコロニー面積の拡大、縮小に影響する理由や納豆菌が破壊地近くまで増殖する理由を明らかにするために、生息地破壊を組み込んだ二次元格子モデルを構築しシミュレーションによって解析を行った。発表ではシミュレーション解析結果も合わせて報告する。


日本生態学会