| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PA1-149 (Poster presentation)
気象庁の統計によると、2000年頃から黄砂が日本に飛来する頻度は高い傾向にある。黄砂は中国やモンゴルなどの東アジアの乾燥地域において舞い上がった砂塵が日本まで到達したもので、この砂塵の発生は発生源地域の植生などの地表面状態と関係している。また、黄砂とともに細菌が輸送されており、この細菌群集は発生源の細菌群集の一部と考えられる。従って、発生源地域の細菌群集の解析は、黄砂の発生地域や飛来する可能性のある細菌を予測する上で有用と考えられるが、黄砂発生源の1つであるモンゴルの細菌群集に関する情報は限られている。本研究では、モンゴルの細菌群集のクローンライブラリを作成するとともに、モンゴルの植生や土壌環境と細菌群集との関係を調査し、どのような環境から検出される細菌が日本の大気中で観察されるのか推察することを目的とした。
モンゴルのステップ、およびゴビステップにおいて16か所を選定した。それぞれの地点について、1x1 m、あるいは3x3 mのコドラートを3~5つ設置し、植物の被度と種組成を調べた。また、土壌を採取し、pHとECを測定した。細菌群集については、それぞれの場所で採集した土壌から直接DNAを抽出し、16S rRNA領域のPCR産物を用いてクローニング、およびシーケンス解析を行った。
植物の被度は0~41%、Simpsonの多様度指数(D)は1.5~7.4にわたり、様々な植生からサンプルを採取することができた。調査地の土壌pHは6.2~9.7、土壌ECは4.3~96 mS m-1であった。16S rRNA領域の解析については、クローニングから得た約700の塩基配列について解析を行った。門レベルでの解析から、Proteobacteria、Actinobacteriaに属する細菌の優占が確認された。