| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PA1-154 (Poster presentation)
バクテリアは栄養を与えた培地の上で成育すると、複数のパターンを形成することが知られている。栄養と培地で寒天の濃度を変化させると、コロニーのパターンが変化する。成長率は栄養濃度に依存し、寒天の濃度は栄養の拡散に依存している。これらの濃度を変化させると、例えば枯草菌(bacillus subtilis)では、樹枝状のパターン、高度に枝分かれするが円盤状に近いパターン(DBM)、円盤状に成長するパターンが形成される。枯草菌の一種納豆菌(bacillus subtilis natto)は、ポリグルタミン酸を産生するが、一定期間ポリグルタミン酸を産生すると、ポリグルタミン酸を栄養として増殖するため、パターンの形成条件が異なると予想される。予備実験の結果、納豆菌は枯草菌と異なる成長、パターン形成を見せることが分かった。本研究では、パターン形成を培養実験と、二次元格子を用いたモデルの構築より、解析を行った。
実験の結果、同じ環境条件で成育した枯草菌と納豆菌を比較すると、納豆菌の方が枯草菌と比べ、コロニーの成長が遅いことが分かった。パターン形成では、枯草菌では円盤状のパターンが、栄養濃度と寒天濃度が共に高い条件で現れ、寒天濃度を低い条件に変化させるとDBMが現れた。納豆菌では、栄養濃度と寒天濃度が共に高い条件ではDBMが現れ、寒天濃度を低い条件に変化させると、円盤状のパターンが現れた。これらは納豆菌の産生するポリグルタミン酸が、コロニーの成長とパターン形成に影響を与えたと考えられる。発表では、シミュレーションによる結果を合わせて報告する。