琉球列島のうち、種子島から与那国島までの拡頭において、かつての里山的環境の復元を、年配者からの聞き取り調査から試みた。その際、里山的環境が激変した目安を、田んぼが焼失したころ（沖縄島の場合、１９６３年以降）とさだめ、それ以前にはどのような植物利用がなされていたかを聞き取っていき、その内容からどのような自然環境が話者の里においては存在していたのかを整理することとした。こうした聞き取り調査の結果、琉球列島の里山的自然は、集落ごとといってもいいほど多様であることが判明した。また、特にソテツの利用に関して、顕著な違いがみられるとともに、ある程度の類型化も可能であることが判明した。このような里ごとのソテツ利用の違いと共通性は、自然要因だけでなく、歴史的要因も関係していることが示唆された。