| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA1-162 (Poster presentation)

仙台湾岸域における大津波被災地の生残樹林地の変化

*原慶太郎(東京情報大),趙憶(東京情報大),富田瑞樹(東京情報大),平吹喜彦(東北学院大),平泉秀樹(ラムサールネットワーク日本)

2011年の東日本大震災では,仙台平野域では内陸数キロメートルまで浸水し,各所で地盤沈下がみられるなど当地の海岸域は大きく変容した。当該地域における樹林地としては,貞山堀の堤防上と内陸側・海浜側にマツ林が帯状に,水田域の浜堤列上にケヤキやスギなどからなる「いぐね」と呼ばれる屋敷林がパッチ状に成立し,背後の丘陵上のまとまった森林域に連なっていた。

仙台平野の七北田川から阿武隈川河口付近までの浸水域を対象として,震災前から震災直後,さらに復旧・復興事業が進む樹林地の変化を,衛星リモートセンシングデータを用いて解析した。用いた衛星データは,SPOT/HRG-2(2010/10/02, 2011/11/02),とRapidEye(2010/04/14, 2011/04/13, 2012/04/10, 2013/03/15)である。SPOT/HRG-2データを用いた解析では,10 ha以上の大面積の樹林地が分断化され,最大でも5-10 haのパッチが阿武隈川河口の北側(岩沼市)と南側(亘理町)に残存するだけとなり,5 ha未満の小パッチも数を大きく減らした。生残樹林パッチ相互の関係性を把握するために,形態学的空間パターン解析(Morphological Spatial Pattern Analysis: MSPA)(Vogt et al. 2007)を適用した。コア領域をもつ樹林パッチは,前述の阿武隈側河口のほか,井土浦,南蒲生などに限られた。RapidEyeデータによる解析では,その後の復旧・復興事業で樹林地は減少しつつあり,当該地域における野生動植物生息地としての樹林パッチの保全・再生が強く望まれる。


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