| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA1-165 (Poster presentation)

都市域における植生景観の立地環境特性-神奈川県秦野市を事例として-

*田中貴宏,宮本慧(広島大・工),大野啓一(元横浜国大),佐藤裕一,佐土原聡(横浜国大・都市)

近年、我が国は人口減少時代に突入し、都市の緑地計画も大きく変わらざるを得ない。そこで、本研究は緑地計画検討の際に生態系サービスの有効活用を検討するための「計画指針地図」作成を最終目的としている。今回は、その第一歩として都市の各植生景観の立地特性を分析した結果を紹介する。具体的には、市街地から里山まで、多様な環境を有する神奈川県秦野市を対象に、サンプル地点63箇所における植生景観調査を行い、各植生景観の立地特性(土地利用、地形区分、傾斜、標高)の分析を行った。

その結果、植生景観区分については、市街緑地景観域、生産緑地景観域、里山緑地景観域の3つに分類することができ、さらに植生景観区分表から11の植生景観区分に分類することができた。関東地方南部の他都市を対象とした既往研究においても、対象地が同様に分類されていることからも、この傾向は地域に共通するものと考えられる。また、各植生景観区分の立地特性の分析を行った結果、市街緑地景観域は比較的平坦な土地で住宅用地や工業用地など多様な土地利用で構成されているといえる。しかし、ピラカンサ植栽亜小地区とトウカエデ植栽亜小地区については、今回の環境変数で区別することは難しく、他に要因があるものと思われる。生産緑地景観域では、傾斜角による区分が可能であり、また、ウリカワ-コナギ群集亜地区については水田の割合が多いことが特徴としてあげられる。里山緑地景観域は、地形によって区分が可能であり、スギ-ヒノキ植林亜地区については他とは異なる地形的立地特性を有している。

さらに、以上の分析結果から植生景観図を作成し、各植生景観と生態系サービス(気候調整等)との関連分析を行ったので、その結果も紹介する。


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