| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA1-166 (Poster presentation)

地域住民による管理がなされている海岸林の林床植生

*藤原道郎(兵庫県大・院・緑環境景観),澤田佳宏(兵庫県大・院・緑環境景観),黒田有寿茂(兵庫県大・自然研)

地域住民による管理がなされている海岸林の林床植生

*藤原道郎(兵庫県大学大学院・緑環境景観マネジメント研究科),澤田佳宏(兵庫県大学大学院・緑環境景観マネジメント研究科),黒田有寿茂(兵庫県大学・自然・環境科学研究所)

東日本大震災の津波被害後,仙台湾を中心に防潮堤と盛土による海岸林造成が行われ,人為的な景観が創出されつつある.淡路島においても,海岸林の人為的な改変も起こりうると考えられるため,海岸域の生態系の保全は重要な課題となる.土砂供給量の減少や海岸構造物等の影響に伴い海浜植生の生育基盤である砂浜の減少も生じており,海岸林の林床は海岸生植物のレフュージアとしての機能もあると考えられる.

本研究では,海岸林内外の海岸生植物の分布と立地環境を明らかにすることから,海岸林の林床における海岸生植物の生育適地について考察した.調査地は南あわじ市の慶野松原および吹上浜とした.

慶野松原のクロマツ海岸林の林床に比較的広く分布する種として,ハマボッス(Lysimachia mauritiana)およびイソアオスゲ(Carex meridiana)が認められた.ハマボッスは汀線側に分布していた.一方,イソアオスゲはより内陸側まで分布していた.ウンラン(Linaria japonica)は砂浜上に5か所,林内に2か所の分布が確認されたが,各地点でのラメート数の変動は大きく,特に波の影響を受けやすい汀線近くの砂浜上では砂の消失に伴い大きく減少した地点もあった.一方,林内では比較的疎林の砂地上に生育し,個体群が維持されていた.

吹上浜においてはクロマツ疎林林床にイヨカズラ(Vincetoxicum japonicum)が分布していた.


日本生態学会