| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PA1-169 (Poster presentation)
農地開発、工作物の設置や林業などの人間活動による土地利用の変化は、自然における景観の構造や配置を変化させる。この土地利用改変に伴う景観構造の変化は、生態的プロセスの速度と方向を変化させ、不可逆的な非生物的なテンプレートとそれに伴う新たな生物的相互作用を形成するため、生態系や生物多様性に強く影響を与える。
特に河川生態系においては、過去から多く設置された河川工作物により、生息環境の消失や分断化等の景観構造が大きく変化し、河川生態系における生物多様性に深刻な影響をもたらしている。景観構造の変化が生物多様性に与える影響を評価することは景観生態学において重要なテーマであり、今後の土地利用管理においても重要な資料を提供すると考えられる。
そこで本研究では北海道を対象として景観の分断化が魚類相へ与える影響を評価することを目的とし、魚類相、物理環境、景観の分断化の関係を分析した。魚類相は河川水辺の国勢調査を用い、種構成や指標種の種数、種数や均等度などの生物多様性に関する指数を算出し指標とした。物理環境は、魚類相に関係していると考えられる流域面積や河川勾配などの河川構造を指標とした。景観の分断化については、上流・下流に土地利用と河川工作物の影響などを指標とした。発表では、これらの関係を基に、景観の分断化が魚類相へ与える影響や程度を考察する。