| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PA1-179 (Poster presentation)
本研究は,微粒炭等炭化物についての基礎的研究の一環として,森林などの火災跡地を訪ね,そこにどのような微粒炭等の炭化物が残っているかについて調べたものである。
調査地は,ニュージーランドのオークランド中心部から北西約70KmのところにあるTapora西方の海岸近くである。そこには,ラジアータパイン(Pinus radiata)の林やマヌカ(Leptospermum scoparium)などの低木林や大型のイネ科草本などからなる草地があったが,2013年2月19日に発生した火災により約85haが燃えた。その火災跡地を同年3月12日に訪れ,火災から間もない現場の様子を観察するとともに,そこにどのような微粒炭等の炭化物が残されるかについて調べた。
上記の火災跡地では,6地点において地表部に残った炭化物中心の試料を少量採取した。採取した試料は,それぞれ約0.3gを常温の室内で水酸化カリウム溶液(10%・48時間),過酸化水素(6%・12時間)により処理することなどにより微粒炭等炭化物を抽出した。抽出した微粒炭等炭化物は,それぞれ1mm,500µm,250µm,125µmのメッシュの篩を用いて篩分けし,それら4種の篩に残ったものの量を測定するとともに,プレパラートを作成した。そのうち,表面形態を主に観察したものは125µmのメッシュの篩に残ったもの(125-250µmクラス)で,その観察は落射顕微鏡で行った。
その結果,たとえば,ラジアータパインの林が燃えた跡地から採取した試料の中には,その葉が燃えたと思われる微粒炭が多く見られたものがあった。また,イネ科草本が多く燃えたところの試料からは,その起源を推定,あるいは特定することのできる微粒炭が比較的多く見られた。一方,起源不明の微粒炭が多く見られる試料も少なくなかった。その理由として,そうした試料採取地では,腐植が多く燃えていたことなどが考えられる。