| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PA1-182 (Poster presentation)
日本は人口減少社会に突入した。1900年代以降の100年間で約3倍に増加した人口は、今後100年間で1900年代と同程度の水準まで減少すると予想されている。これまでの人口増加社会では、増加する人口を養うための土地開発が進行した。特に、高度経済成長期以降の大規模開発は、生物の生息環境を大きく改変し、生態系を劣化さる要因となった。しかし、これからの人口減少社会では、急激な人口の減少によって農地や都市が放棄されるなど、人間の開発圧から解放される土地が増える可能性がある。このとき、人間の開発圧から解放された土地を適切に管理し、生物の生息地として再生することができれば、開発行為によって劣化した生態系を回復させられる可能性がある。本研究は、耕作放棄地の自然再生地としての利用可能性を検討するために、北海道を対象に耕作放棄地の広域分布を抽出した。
耕作放棄地は、国土数値情報で公開されている1976、1987、1997、2006、2009年の土地利用細分メッシュデータをもとに、土地利用の属性が農地から森林や荒地に変化したメッシュとみなした。抽出した耕作放棄地は、各年代で3次メッシュごとに集計して耕作放棄地の発生率を算出した。耕作放棄地の発生要因を検討するために、傾斜、人口、道路密度などのGISデータを収集し、耕作放棄地の発生率と比較した。また、抽出した耕作放棄地の信頼性を確認するため、現地調査を実施した。
過去30年間で北海道の耕作放棄地面積は不連続に増加していた。耕作放棄地の発生率は、農業地域の辺縁部で高くなる傾向にあった。ただし、土地利用細分メッシュデータの重ね合わせで判定した耕作放棄地の精度は7割程度で、一定程度の誤判別が見られた。