| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA1-202 (Poster presentation)

CO2噴出地における植生遷移

*上田実希(東北大・生命),小野田雄介(京大・農),神山千穂(国連大),小嶋智巳,彦坂幸毅(東北大・生命)

大気中のCO2濃度は今世紀末には500~1000ppmまで上昇すると予想されている。CO2は植物の光合成の基質であることから、CO2の急激な上昇による自然生態系の植生への影響が懸念されている。本研究では、天然のCO2噴出地を調査対象とした。天然のCO2噴出地の植生は数十年以上に渡り高CO2に晒されており、植生への高CO2の影響を調べる上で有用である。しかし、多くのCO2噴出地では、対照区(通常のCO2濃度で他の条件が噴出地と同等)を設定するのが困難である。本研究を行ったCO2噴出地は、高CO2濃度のガス噴出区と、通常CO2濃度のガスが噴出する対照区が隣接する稀有なサイトである。本サイトでは2000年に樹木と草本植生の刈り取りが行われた。その後、それぞれのCO2濃度区において、どのように植生が回復していったのかを継続して調査している。2003、2004、2011年に行った植生調査の結果、8年間の植生遷移の間に、高CO2濃度で被度が増加する種や逆に減少する種、変化がない種が混在していた。このことから、高CO2の影響は種によって大きく異なることが明らかになった。これらの結果から、高CO2が植物群落の種組成に及ぼす影響について考察する。


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