| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PA2-001 (Poster presentation)
警告色を持つ有害な生物に自身を似せることで捕食者の攻撃を回避するタイプの擬態であるベイツ擬態とミュラー擬態は、鱗翅目昆虫の成虫で主に研究されてきた。しかし、これらの研究は成虫を用いる都合上、性選択との相互作用が介在する可能性を否定しきれず、幼虫での研究が必要視されている。ホタルは成虫期の発光による性コミュニケーションに関する研究が多く行われているが、より多くの種が行う幼虫期の発光に対する研究は少ない。
本研究ではホタル科の幼虫期における発光に着目し、発光にまつわる捕食者-被食者間及びホタル科の種間、および他の発光生物との間の潜在的関係を調べるために明暗の条件でカエルを用いた被食実験を行った。
その結果、ホタルを食べようとしたカエルは即座に吐き出し、ホタルがカエルにとって不味であることが示唆された。また、カエルは発光が認識されやすい暗い場所において、ホタルの光を学習し、発光する生き物に対して捕食行動をおこさなくなった。
このことから、捕食被食関係においてホタルの光は色や外見的特徴を認識しにくい夜間において警告色の役目をはたし、ホタル科の種間においてはその効果を高めるためにミュラー型の擬態を行っている可能性がある。今後、サンプルサイズを増やしこれらの結果をさらに詳細に確認する必要がある。