| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PA2-006 (Poster presentation)
Wolbachiaは多種多様な陸生節足動物に感染し,ホストに繁殖操作を及ぼしている(Werren et al., 2008)。昆虫種におけるWolbachia感染率はホストやWolbachia系統によって異なっているが,ヤマトシジミにおいて岡山個体群内の感染率は季節を通して一定であった(Sumi et al., 2013)。Wolbachia感染率が個体群内で変動するという現象が昆虫類普遍的であるかどうかは明らかになっておらず,Wolbachiaによるコスト・ベネフィットを生態学的に解明するためにも感染率について理解することが必要だと考えられる。そこで,半田山(岡山県岡山市)に棲息する日本在来種のコシビロダンゴムシ科2種を用いてWolbachia感染の有無及び感染率の季節変動を観察した。Spherillo dorsalisは雌雄間でWolbachia感染率に差が生じており(P < 0.001),Wolbachiaによる繁殖操作が示唆された。一方で,Spherillo sp. shi-1は雌雄間に有意な差は認められなかった(P = 0.609)ことから,本種に感染するWolbachiaは繁殖操作を起こさないか,あるいは細胞質不和合を引き起こす系統だと示唆される。講演では,2種におけるWolbachia感染率の季節推移についても言及する。