| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA2-007 (Poster presentation)

アノールトカゲにおいてニッチ形質である後肢長の差異を生み出す遺伝子の検出

*西村悠紀,若狭甫(東北大・生命),Antonio Cådiz Díaz(ハバナ大),赤司寛志,牧野能士,田村宏治,河田雅圭(東北大・生命)

ニッチ利用に関する形質の進化は、多種の共存のみならず、適応放散や種分化を引き起こす。ニッチ形質の遺伝的基盤を解明することは、生物の多様性を生じさせる原因の解明に役立つと考えられる。大アンティル諸島に生息するアノールトカゲは様々なニッチに適応放散しており、幹や樹冠、枝先など異なる生息場所に適応し、異なる形態的、行動的、生態的特徴をもつ6つのエコモルフが知られている。後肢長は重要なニッチ形質であり、生息地利用や採餌行動などに関与している。後肢の長いTrunk-Ground型のAnolis sagreiと後肢の短いTwig型のAnolis angusticepsの後肢の発生を比べたところ、2種の後肢長の差は、胚発生ステージ6~7と9~13の間における自脚部の成長速度の差異によって生じていることが示された(Wakasa et al., submitted)。一方、後肢形成過程に関与する遺伝子群が、どのように発現変動するかについてはマウスで研究があるのみである。本研究ではRNA-Seqによって後肢形成過程で発現する遺伝子の発現量変動を調べることで、後肢形成過程において発現量の変動する遺伝子の検出および種間で発現パターンの異なる遺伝子の検出を目的とする。A. sagreiの4つの発生段階において、各発生ステージ間で発現量を比較することで、特定の発生段階で発現量が変動する遺伝子を検出した。また、A. sagreiA. angusticepsにおいて、後肢形成の初期段階及び成長速度に顕著な差異が認められる段階において遺伝子発現量比較を行い、種間で発現パターンの異なる遺伝子を検出した。発表ではこれらの解析により得られた遺伝子群について報告し、後肢形成に関与する遺伝子群について議論する。


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