| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA2-110 (Poster presentation)

植生がハクセンシオマネキのWaving・配偶行動に与える影響

*坂上真希(奈良女子大院),和田恵次(奈良女子大),鎌田磨人(徳島大)

スナガニ上科のカニ類に特徴的なWaving displayは視覚的シグナルであるため、空間的に開けた場所で発達したものとみられる。それは、開けた場所を住み場所とする種が遮蔽された場所に住む種よりもWavingが活発であることからも示唆される。しかし同一種内で、開けた場所にいる集団と遮蔽された場所にいる集団とでWaving活動の活発さに違いがあるかは検討された例がない。

徳島県吉野川河口域において、ヨシ原内にいるハクセンシオマネキの集団とヨシ原外にいる集団を取り上げ、両集団間でのWaving行動と配偶行動の比較を行なった。雄個体ごとのWavingに費やす時間は繁殖期を通して植生域で低く、非植生域では高かった。雄集団中のWaving雄個体の割合と雄個体ごとのWavingの激しさ(回数/単位時間)は、植生域では5-6月にピークが来るのに対し、非植生域では8月にピークがくるという違いがみられた。配偶行動においては、地上交尾前行動に対する地下交尾前行動の頻度が非植生域よりも植生域で高かった。以上のWaving活動、配偶行動の植生域と非植生域での相違を、両地域間での遮蔽物の有無という違いと、捕食圧の違いの両面より考察する。


日本生態学会