| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PA2-118 (Poster presentation)
順位関係を持つ動物において、攻撃行動の影響が、その当事者個体のみならず、攻撃に直接関わっていない第三者個体に及ぶことが知られている。例えば、攻撃が起きた直後に被攻撃個体が第三者個体を攻撃することがある。この行動は八つ当たり行動(redirected aggression)と呼ばれ、その存在は多くの哺乳類で報告されている。その機能として、被攻撃個体が攻撃個体からの更なる攻撃を防ぐ可能性が提唱されている。哺乳類以外の動物でも八つ当たり行動の存在は知られているが、定量的な研究はほとんどなく、魚類ではニジマスでのみ行われている。また、八つ当たり行動以外にも被攻撃個体を第三者個体がさらに攻撃を加えるという攻撃行動(順位強化行動)が見られる。本研究では、タンガニイカ湖に生息するカワスズメ科魚類(シクリッド)であるジュリドクロミス•レガニ(Julidochromis regain)を対象とした。シクリッドでは体長が大きいほど、群れの中で優位な順位を得ることが知られている。実験では、体長が異なるオス3個体間で順位関係を形成させ攻撃行動を記録した。その分析から、(i)八つ当たり行動と順位強化行動が生じるか、(ii)個体間の体サイズの差が八つ当たり行動と順位強化行動に影響を与えるか、を検証した。