| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PA2-127 (Poster presentation)
ニホンイノシシ(Sus scrofa leucomystax)は、古くから日本に生息しており、生態系や人間との関わりが深い野生動物である。人間の活動地域内でも確認され、とくに近年はイノシシによる農作物被害が増加したため、各地で有害駆除などの対策が行われている。イノシシは警戒心が強く、人間活動の影響を受けて行動時間帯を変えるといわれている。そのため、人間による有害駆除活動自体がその地域の生態系に直接影響を与えるほかに、大型哺乳類であるイノシシの行動特性に変化が生じ、間接的に生態系に影響を与える可能性も考えられる。しかし、こうした有害鳥獣駆除が、イノシシやその他の野生動物の行動にどのような影響を与えているのかについてはあまりよくわかっていない。そこで、本研究では、福井県の人里に近い森林において、イノシシの有害駆除が行われている区域と、行われていない区域内に赤外線自動撮影カメラを設置して、連続観察を行った。得られた画像データから、両区域間でイノシシやタヌキなどの中・大型哺乳類の撮影頻度、撮影時間帯を比較し、有害駆除がこれらの哺乳類の行動に与える影響を考察した。また、イノシシに関しては、撮影画像をもとに体高を計測し、体サイズ別の出現時間帯についても調べた。今回は、2013年7月から11月までの間に得られた結果について報告する。